TypeScript累計学習時間6時間のAndroid学生エンジニアがTSKaigi2025で気づいたこと
読者対象
- TypeScriptを普段から利用されている方
- 普段Web開発をメインで取り組んでいない方
- 学生の方
今回の記事では、普段Android開発を行っている学生エンジニアの視点から見えるTypeScriptの世界を、TSKaigiのセッションを見た感想ベースでまとめてみました。ぜひ最後までご覧ください。
はじめに
はじめまして、Takuchanと申します。
今回TSKaigi2025に参加した理由は、Webアプリを作りたいという単純な動機からでした。まずはプロフェッショナルの方々の話を聞いて、TypeScriptの世界を知りたいと思ったのです。タイトルの通り、参加当時のTypeScriptの学習時間は相当少なく、事前知識はチュートリアルを読んで簡単なサイトを作った程度でした。
参加の背景
最近、アプリのトレンドが大きく変化していることを感じています。
従来:スマホにアプリをインストールするのが一般的
現在:Webで完結するアプリが主流になりつつある
この変化は日常生活でも実感できます。ファミレスや居酒屋では、QRコードをスマホで読み込んで注文するWebアプリが当たり前になっています。こうした流れを受けて、8年以上Android開発を行ってきましたが、自分もWeb開発を学んでみたいと思ったのです。
気づき① 型の恩恵を再認識
Android JavaからKotlinまで、長年にわたって静的型付け言語で開発してきた私にとって、型をつけてプログラムを書くのは当たり前の習慣でした。
この習慣が無意識でしたが、実は非常に恵まれた環境だったことを、今回のカンファレンスで改めて実感しました。
Android開発においても、K2 Compilerによるビルド時間短縮など、コンパイル技術の進歩は常にありました。しかし、その大変さを深く意識したことはありませんでした。
今回のセッションで度々話題に上がった「A 10X Faster TypeScript」の話を聞いて、型推論やコンパイル能力の向上がいかに困難で重要な技術課題なのかを知ることができました。
これまで多くの開発者がTypeScriptのビルド時間短縮に挑戦してきたものの、思うように進まなかった中、TypeScriptの生みの親であるAnders Hejlsberg氏らによって実現されたこの技術革新。その背景にある技術者たちの努力と情熱を知ることができ、非常に感銘を受けました。
気づき② JSON通信の型安全性という課題とGraphQLという解決策
私はこれまで、Firebase(BaaS)を中心に開発を行ってきました。FirebaseのSDKがいい感じに型を定義してくれていたため、バックエンドサーバーとの通信で、「型とは何か」を深く意識したことがありませんでした。
しかし、TSKaigiのセッションやブースを回る中で、一般的なREST API開発では、サーバーから返ってくるJSONを一度any型として受け取ることが多いと初めて知りました。これは衝撃でした。any型で受け取った場合、JSONのプロパティ名を少しでも間違えてコーディングすると、コンパイル時にはエラーが出ず、実行時に初めてバグとして発覚します。
これは非常に危険な状況です。
この課題を解決する有効な手段の一つがGraphQLであることを学びました。SANU株式会社のTAKENOさんによる「スキーマと型で拓く Full-Stack TypeScript」というセッションは、まさに目から鱗でした。https://2025.tskaigi.org/talks/Altech_2015
スキーマ駆動開発によって、フロントエンドとバックエンドで一貫した型安全性を保てることを知り、非常に感銘を受けました。
企業ブース、非常に良かった!
約20社のブースが出展されていました。
各ブースでは
- 自社プロダクトの体験デモ
- TypeScriptのコード品質向上に関する議論
- 記念品がもらえるクイズやくじ引き
など、興味深いイベントが開催されていました。
Web開発の経験が浅い私にとって、どのブースでの話も非常に刺激的でした。Figmaのデザインを効率的にWebで実装するツールの話、TypeScript言語への熱い想いを語る方々、セキュリティに関する最新動向など、多くの学びを得ることができました。
【TSKaigi 2025 学生支援企業】
株式会社TOKIUM・株式会社ドワンゴ・トグルホールディングス株式会社・レバレジーズ株式会社・株式会社TwoGate
スカラシップランチ🍚
私は大勢がいる場で人に話しかけることにかなり勇気が必要な性格です。しかし、今回はスカラシップランチで同じ学生の方々と意見交換できたのは大変貴重な体験でした。
「普段どんなプログラムを作っているの?」
「なぜTSKaigi2025に参加しようと思ったの?」
「AIツールとどう付き合っている?」
などといった、この場でしか聞けない話や、自分より年下の学生の最新の開発手法などを聞いて、非常に勉強になりました。
もちろん、多くの方とSNSでもつながることができました!
カンファレンス参加を振り返って
今回のTSKaigi参加は、技術的な学びと同じくらい、カンファレンス参加のあり方についても多くの気づきがありました。
良かった点
- 知識の接続と発見: Android開発で培った「型」の知識が、TypeScriptの世界でも強力な武器になることを再確認できました。一方で、GraphQLやスキーマ駆動開発といった全く新しい概念に出会えたのは大きな収穫でした。
- 学生同士の交流: 同じように技術に熱中している学生と出会い、日々どんなことに挑戦しているかを知れたのは、非常に刺激的で有意義な時間でした。
反省点と次への抱負
- 基礎知識の重要性: いくつかのセッションは、私のTypeScript知識が不足していたため、内容を完全に理解するのが困難でした。LT(ライトニングトーク)で「『わかる』と『できる』は違う」とおっしゃっていた通り、まずは手を動かして基礎を固め、「できる」状態に持っていこうと思いました。
- コミュニケーションの準備不足: 懇親会や企業ブースでは、多くの方とお話しする機会がありました。しかし、事前に何を聞きたいのか、何を話したいのかを整理できていなかったため、「スタンプをもらって終わり」のような表面的な交流に終わってしまったブースもあり、非常にもったいなかったと感じています。次回参加する機会があれば、質問リストを準備して、より深い知見を得られるようにしたいです。
おわりに
TypeScript累計学習時間6時間で飛び込んだTSKaigi 2025でしたが、Web開発の最前線で活躍するエンジニアの方々の熱量、技術の奥深さ、そして進化の速さを肌で感じることができ、非常に刺激的な2日間でした。
特に、「流行っているから使う」という短絡的な思考ではなく、なぜその技術が生まれたのか、その本質的な価値は何かという「技術に対する審美眼」を持つことの重要性を学びました。
今回のカンファレンスで得た興奮と多くの気づきを原動力に、これからはTypeScriptを使ったWeb開発の経験を積み、AndroidとWebの両方の世界で価値を発揮できるエンジニアを目指していきたいと思います。
この記事が、私と同じようにWeb開発の世界に足を踏み入れようとしている非Webエンジニアの方や、学生の方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
そして今回、このような素敵な経験をさせていただき、そしてこのような記事を書けたのもすべてTSKaigi2025の学生支援のおかげです。学生支援企業の方々に心より感謝申し上げます。
【TSKaigi 2025 学生支援企業】
株式会社TOKIUM・株式会社ドワンゴ・トグルホールディングス株式会社・レバレジーズ株式会社・株式会社TwoGate